囲碁十訣

貪不得勝 (貪れば勝ちを得ず) 入界宣緩 (界に入りてはよろしく緩なるべし) 攻彼顧我 (彼を攻めるには我を顧みよ) 棄子争先 (子を棄てて先を争え) 捨小就大 (小を捨てて大に就け) 逢危復棄 (危うきにあえばすべからく棄つべし) 慎勿軽速 (慎んで軽速なるなかれ) 動復相応 (動けばすべからく相応ずべし) 彼強自保 (彼強ければ自ら保て) 勢孤取和 (勢い孤なれば和を取れ)  囲碁格言というと真っ先に思い浮かべるのは囲碁十訣ではないでしょうか。
 囲碁十訣は、唐の詩人王積薪の作と伝えられています。
 王は、碁の熱烈な愛好家で外出時に必ず碁盤を携え、知っていると聞けば、誰とでも碁を打ったそうです。

蛇足
 貪不得勝は、暴利を貪ろうとすると破綻を来すという意味で、よりよい手を追求することを否定するものではありません。
 入界宣緩の緩やかは、ゆったりとした気分という意味で、緩手の奨めではありません。
 攻彼顧我は、攻めるときは自陣の欠陥がないか配慮せよという意味で、自分の棋力相応の手を打てという意味ではありません。
 棄子争先は、捨て石を使うなどして先手を得る工夫をせよという意味で、先手を得るためには損な手を打ってもいいというのではありません。
 捨小就大の大・小は、価値の大・小のことで、石数の多寡ではありません。
 逢危復棄は、フリカワリを目指せという意味で、代償なしに捨ててもいいという意味ではありません。
 慎勿軽速の軽速は、軽はずみに打つなという意味で、軽いサバキの否定ではありません。
 動復相応の相応ずべしは、局面の動静を見極めて対応せよという意味で、相手の動きについて回れというのではありません。
 彼強自保は、相手の勢力圏では戦いを避けよという意味で、強い相手には妥協しろという意味ではありません。
 勢孤取和は、石数が少ないところでは戦いを避けよという意味で、意気消沈しているときは戦うなという意味ではありません。
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