図2の状態で手番が白の場合、白1ツギならセキになります。
しかし、白はすぐに白1ツギを打たずに次図のチャンスを狙うのが普通です。
白の狙いは白☆と黒の外ダメをすべて詰めてから白1のトリカケです。
ただし、黒2と劫を取られ、白は劫に負けると黒に10目の地を与えてしまいます。
つまり、図2の状態から黒を取るまでには外ダメを詰め、劫材を用意してから劫を仕掛けなければならないの先の遠い話なのです。
しかし、この狙いがあるのに図5白1とツイでセキにしてしまうのは黒を安心させてしまいます。
黒が白を取るためには、いったん劫を取って図1の状態にしてから劫を仕掛けなければならないのですから白は慌てて劫をツグ必要がありません。
白から劫の狙いが残っているかぎり黒は劫材の数を気にかけながら打ち進めなければなりません。
白は、劫仕掛けを脅しながら打ち進め、黒の方の劫材が多くなった時点で図5白1ツギを打ってセキにするのが万年劫の上手な使い方なのです。
次頁で万年劫をめぐる終局の駆け引きの実例を挙げてみましょう。
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