空き隅

 盤上の石は、境界線の一員として役立つためには活きる必要があります。
 碁盤の上で最も活きやすい場所は隅なので、黒からも白からも手を付けられていない隅(空き隅)から打ち始めるのが普通です。
 呉・木谷両雄により新布石時代が幕開けされる前までは、隅を2手かけて根拠を得るのが原則とされていました。
 空き隅を占めた後、もう1手かけて隅に根拠を得ることをシマリといい、シマリを妨害する手のことをカカリといいます。
 当時はコミがなかったので黒番になったら手堅く打って勝つことがよいとされていたので、空き隅を占めた後はシマリを急ぐのが布石の常道とされていました。

囲碁格言:1に空き隅、2にシマリ
 一方、白はシマリよりカカリを優先して紛れを求めたものでした。
 現代は、コミがあるので持久戦になるとコミがものをいうので、黒は先着の利が活きるように戦端を求め、白は持久戦になるように打つというようになってきたため、1に空き隅、2にシマリが布石の順序とは限らなくなりました。

 空き隅の打ち方は、下記のようなものがあります。

小目(こもく)
┌┬┬┬┬┬┬
├┼┼┼┼┼┼
├┼┼●┼┼
├┼┼・┼┼┼
├┼ab┼┼┼
├┼cd┼┼┼
├┼┼┼┼┼┼
├┼┼┼┼┼┼
├┼┼┼┼┼┼
2手で隅に根拠を得る
実利を得やすい。
小目の後続手
黒a:小ゲイマジマリ 白a:小ゲイマガカリ
黒b:一間ジマリ   白b:一間高ガカリ
黒c:大ゲイマジマ  白c:大ゲイマガカリ
黒d:2間ジマリ   白d:2間高ガカリ

小目の側を背中側といい、シマリまたはカカリを打つ側を側といいます。
小目の発展方向は背中側になります。

星(ほし)
┌┬┬┬┬┬
├┼┼┼┼┼
├┼┼┼┼┼
├┼┼●┼┼
├┼┼┼┼┼
├┼┼┼┼┼
├┼┼┼┼┼
├┼┼┼┼┼
1手で隅に優位を得る
足が速いが三々にアマイ。
目外し(もくはずし)
┌┬┬┬┬┬┬
├┼┼┼┼┼┼
├┼fae┼┼
├┼┼・bd┼
├┼●┼c┼┼
├┼┼┼┼┼┼
├┼┼┼┼┼┼
├┼┼┼┼┼
├┼┼┼┼┼┼
2手で隅に根拠を得る
辺へ発展しやすい。
目外しの2手目
黒a:シマリ   白a:カカリ
黒b:高ジマリ  白b:高ガカリ
黒c:一間トビ  白c:ボウシ
黒d:大斜ジマリ 白d:
黒f:      白f:三々入り

 黒fは白eに打たれたとき受ける形で目外しから単独に黒eと打つことは稀です。

┌┬┬┬┬┬
├┼┼┼┼┼
├┼┼┼●┼
├┼┼・┼┼
├┼●┼●┼
├┼┼┼┼┼
 黒c一間トビから黒eとトビオリた構えをトーチカといいます。
 トーチカを構えるときは上図黒c・eの順で打ち、目外しから黒eと打つのは悪形なので稀です。
高目(たかもく)
┌┬┬┬┬┬┬
├┼┼┼┼┼┼
├┼bac┼┼
├┼┼・┼┼┼
├┼┼●┼┼┼
├┼┼┼┼┼┼
├┼┼┼┼┼┼
├┼┼┼┼┼┼
├┼┼┼┼┼┼
2手で隅に根拠を得る
中央に勢力を得やすい。
高目の後続手
黒a:シマリ   白a:カカリ(内ガカリ)
黒b:      白b:三々入り
黒c:高ジマリ  白c:高ガカリ

黒bは、白c高ガカリに対しての受けで打たれることが多く、高目から単独で黒bと打つことは稀です。

三々(さんさん)
┌┬┬┬┬┬
├┼┼┼┼┼
├┼●┼┼┼
├┼┼・┼┼
├┼┼┼┼┼
├┼┼┼┼┼
1手で隅に根拠を得る
地に辛いが位が低い。
大高目(おおたかもく)
┌┬┬┬┬┬
├┼┼┼┼┼
├┼cab┼
├┼┼・┼┼
├┼┼┼┼┼
├┼┼●┼┼
├┼┼┼┼┼
├┼┼┼┼┼
中央を重視
趣向の手
黒a:シマリ   白a:カカリ
黒b:大斜シマリ 白b:外ガカリ
黒c:      白c:内ガカリ
五の五(ごのご)
┌┬┬┬┬┬┬
├┼┼┼┼┼┼
├┼┼┼┼┼┼
├┼┼・┼┼┼
├┼┼┼●┼┼
├┼┼┼┼┼┼
├┼┼┼┼┼┼
中央を重視
趣向の手
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