半劫

 半劫とは左図A、BおよびCの劫のように自分が劫に勝ってツイだ場合と相手が劫に勝ってツイだ場合との出入りの差が1目の劫をいいます。
 半劫は1手の価値として最も小さい手なのでヨセの最終局面で争われますが、半劫争いに入る前に出入りがゼロ目の場所であっても両先手の場所は全部打っておく必要があります。
 両先手の場所が残っている状態で半劫争いを始めるとその両先手を相手に劫材として使われてしまいます。
 半劫が多数ある場合の半劫で得られる地の合計は、取っている状態の半劫を2/3目、取られている状態の半劫を1/3目として積算します。
 積算の結果生じた端数は、最後に残った半劫争いに勝てるのなら切り上げ、負けるのなら切り捨てます。
 半劫を地として積算するときは1/3目単位でするのは左図のように半劫が3箇所ある場合は劫を取っている側は2箇所ツギ、劫を取られている側は1箇所ツギとなるので取られている状態の半劫は3箇所あって1目すなわち1箇所当たり1/3目となるからです。

 この半劫の計算を敷衍して、劫を取る大きさは劫に勝ったときと負けたときとの出入りの差の1/3だから劫立ての大きさは劫の大きさの2/3でよいという珍説にお目にかかることがあります。
 劫の大きさを1/3単位で計算するのは、同じ大きさの劫がたくさんある場合に劫を地として積算するのには役立ちますが、1手の価値を均等化して1/3にするのは暴論です。
 劫を取ったり取り返したりする手の価値と劫を解消する手の価値とでは後者の方が遙かに大きいはずです。
 また、劫立てをする手は1手目は価値ゼロで2手連打してナンボが普通ですから、劫立てで得た利益の1手当たりの価値はその半分ということになります。
 大きいヨセがいっぱいある局面では、劫材を使った劫立てではなく、大きい後手ヨセを2箇所打った方が得な場合もあります。
 半劫以外の劫に対する劫立ての大きさは、全局の形勢を勘案して決めなければならいのが劫の難しさで棋力の分かれ目なのです。
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