キカシとは、次の条件を備えた着手をいいます。
┌┬┬┬┬┬┬┬┬ ├┼○○●┼┼┼┼ ├┼○●●○┼●┼ ├┼○●┼┼┼┼┼ ├21●┼┼┼┼┼ ├┼○┼┼┼┼┼┼ ├┼┼┼┼┼┼┼┼ ├┼A┼┼┼┼┼┼左図、1デは先手で白地を1目減らしたと喜んで打つ初級者が多いですが、これはキカシではなく身ダメを詰めた悪手です。
囲碁格言:キカシと悪手は紙一重
┌┬┬┬┬┬ ├┼┼6┼┼ ├┼┼◆5┼ ├┼43┼┼ ├┼21┼┼ ├┼◆┼┼┼ ├┼┼┼┼┼左図の大ゲイマシマリに1カタツキから5ハネまで先手でキメた折衝は、この白石がこれからの戦闘に役立てばキカシになっていますが、役立たない場合は大ゲイマシマリを固めたアジ消しの悪手になります。
相手の着手より価値の低い手で応じることをキカサレといいます。
ただし、後続手段として保留されていたキキに応じるのは相手が債権を回収したにすぎませんからキカサレとはいいません。
キキを決めることをキカスと表現しますが、キキを決めらることはキカサレとは限りません。
したがって、キカスことはキカシになるとは限らないのです。
例えば、上図2〜6はキキに応じてはいますが、キカサレとはいいません。
キカサレは、みすみす損をすることになるのでキカシに来た石に反発して戦端が開かれることが少なくありません。
反発するのが無理な局面ではキカサレに甘んじて受けても、その着手の価値が高くなるように進めるのが戦略のポイントになります。
┌┬┬┬┬┬┬┬ ├┼┼┼┼┼┼┼ ├┼2┼┼┼┼┼ ├1┼●┼●┼┼ ├┼┼┼┼┼┼┼ ├┼◇┼○┼┼┼ ├┼┼┼┼┼┼┼ ├┼┼┼┼┼┼┼ ├3┼◆┼┼┼┼ ├┼┼・┼┼┼┼ ├┼A┼┼┼┼┼ ├┼┼B┼┼┼┼ ├┼┼┼┼┼┼┼ ├┼┼┼┼┼┼┼左図、黒◆の挟撃に1・3のスベリは白の早治まりを図る常用の分かれです。
キカシに相手がキカサレた場合は、その部分の折衝は技ありで完結したのですからキカした石は軽く見て打たなければいけません。
キカした石の方がキカされた石より能率が優れているからキカシになっているので、キカした石にこだわって手を加えるのは好きこのんで石の能率を低くすることになってしまいます。
また、キカした石を重く動き出すのは、キカされたはずの石が隠忍自重して力を貯めた好着になってしまいます。
囲碁格言:キカした石を惜しむなキカシた石をすぐに動き出さなければいけない場合は、その石はキカシではなく戦いに必要なキキを決めたにすぎません。