マガリ4目

 マガリ4目(曲がり4目)とは図のようにL字型をした4目のフトコロの形をいいます。
無欠陥マガリ4目
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 左図(1)まったく欠陥がないマガリ4目は、このまま活きです。
 すなわち図(2)白△なら黒▲、図(3)白▽なら黒▼で2眼の活きです。
ダメ詰まりマガリ4目
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 境界線に欠陥があるマガリ4目は活きとはかぎりません。
 欠陥を衝かれて劫になったり無条件死になったりしますから欠陥には要注意です。
 左図(1)は、境界線がダメヅマリになっているマガリ4目で図(2)白◇と欠け眼の急所に置かれると死んでしまいます。  すなわち黒aと打てば白bで黒は抜かれてしまいますし、黒bツギだとそのまま3ナカの死です。
 なお、図(3)白1アテでも黒2ツギのとき白3ハイで黒死になりますが、図(2)と図(3)とでは重大な違いがあるのです。
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 図(4)は、マガリ4目の下に黒の半眼があります。
 この場合、図(5)白◇オキなら白aウッテガエシと白bハネが見合いで黒は2眼作ることができません。
 しかし、図(6)白1アテだと黒2ツギで黒cヌキと黒d眼持ちが見合いで黒は2眼の活きとなります。
 つまり、図(5)白◇オキだとマガリ4目の部分は黒から打てば1眼、白から打てばゼロ眼の半眼ですから下部の半眼と合わせて1眼にしかなりません。
 図(6)白1アテだと黒2ツギになり、白から打てば1眼、黒から打てば2眼の1眼半になるので下部の半眼と合わせて2眼の活きとなるのです。

 一般にダメヅマリマガリ4目を殺すには図(2)や図(5)のように白◇と欠け眼の急所に置くのが正しい殺し方です。
 ただし、欠け眼の急所に置くのは手抜きされた場合に取るのに2手かかりますが、図(3)や(6)の白1アテは手抜きをすれば1手で取ることができるので1手も弛めることができない攻合いのときはこの手でなければならないことがあります。

隅のマガリ4目
隅のマガリ4目原型
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 左図(1)は、隅のマガリ4目の原型で外ダメが2つ以上あればこのまま活きですが、外ダメが1つ以下の場合は相手から打たれると極隅の魔性が作用して劫になります。
 外ダメが2つ以上ある左図(2)黒1ツケ・白2ホウリコミ・黒3劫トリのとき白4アテとオシツブシで活きることができます。
 外ダメが1つ以下の場合は左図(3)黒1ツケ・白2ホウリコミ・黒3劫トリのとき白aと打つと白がアタリになってしまうのでオシツブシにすることができませんから、ここの劫を争うことになります。
 白が劫に勝ってツゲば黒は3ナカの死になり、黒が劫に勝って黒aと抜けば2眼の活きになります。

セキもどき隅のマガリ4目

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 左図の右上隅および左下隅の形は、セキもどき隅のマガリ4目で
隅のマガリ4目は死
と言われる隅のマガリ4目とはこの形を指します。
 また、たんに隅のマガリ4目というと隅のマガリ4目の原型ではなく、図のように中に入っている石を動いて取らせたときの抜き跡がマガリ4目になる形のことをいうのが普通です。
 右上隅および左下隅の黒はセキのように見えるので終局後これはセキだと主張する人が少なくありません。
 しかし、この形は極隅の特殊性でダメが詰まれば白から打てばいつでも上図(3)の劫にできるのです。
 一方、黒から打つと3ナカの死になってしまいますから、劫を仕掛けることができるのは白の権利といえます。
 したがって、白は劫材を全部なくしてから劫を仕掛けて黒を取ることができるのです。
 このことから日本では古来から隅のマガリ4目のことを劫尽くしの死と定めていました。
 しかし、両劫セキのように解消できない劫材がある場合はどうするなどの諸問題がありましたが、日本囲碁規約は死活の証明の際は両者パスした後でなければ同一場所の劫を取ることができないという条項を規定することによりセキもどき隅のマガリ4目は死ということを明確にしました。

日本囲碁規約 第七条(死活)
  1. 相手方の着手により取られない石、又は取られても新たに相手方に取られない石を生じうる石は「活き石」という。活き石以外の石は「死に石」という。
  2. 第九条の「対局の停止」後での死活確認の際における同一の劫での取り返しは、行うことができない。ただし、劫を取られた方が取り返す劫のそれぞれにつき着手放棄を行った後は、新たにその劫を取ることができる。

 下図(1)の黒が「死に石」であることを日本囲碁規約に基づいて確認してみましょう。

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 ダメを全部詰めます。(2)
 白◇とマガリ4目の形でアタリをかけます。(3)
 黒◆と白4子を抜きます。(4)
白☆と2の1の急所にオキます。(5)
 白に★ノビを打たれると死ですから黒>★ホウリコミが黒にとって最強の粘りです。(6)
 白は白◎と劫を取ります。(7)
 ここで黒が他に劫立てをして白がそれに応じたとしても、両者パスした後でなければ同一場所の劫を取ることができない規定により、この劫を取り返すことができません。
 そして黒がパスをすれば白は黒を打ち抜き劫を解決します。(8)

 セキもどき隅のマガリ4目は、日本ルールでは終局の時に死として扱われますが、取られるまでの手数が長いので包囲している石に欠陥があるときは取りきるまでが大変ですから注意を要します。
 また、他の場所に両劫セキなど劫材を解消できない部分がある場合は、隅のマガリ4目はルールによっては必ずしも死にならないことがありますから、勝負が大事な対局の場合には対局前にルールの確認が必要です。

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 なお、日本ルールで死に石とされる隅のマガリ4目は、ナカテしている石が動いて取られた抜き跡がマガリ4目になる形のことで左図のようにナカテしている石がマガリ4目のことではありませんから誤解しないようにしてください。
 左図は、黒から打つと抜き跡がマガリ5目になって白が活きますから、白石は「死に石」ではなく「活き石」です。
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