ナラビ

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┃ (1) │ (2) │ (3) ┃
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 左図は石と石とが連絡した基本形です。
 ただし、図(2)のタケフと図(3)のコスミはAくんとBくんが見合いで連絡している形ですから、相手にAくんとBくんを連打されることになると切られてしまいます。
 しかし図(1)は完全に一体化していますから絶対に切られることはありません。
 したがって、接触戦のとき最も威力を発揮する形です。
 ただし、1路ずしか進んでいないので足が遅く、連絡した全体が包囲されて取られてしまうことがありますから、軽快なフットワークを必要とするときには適していません。
 図(1)の形は、周囲の状況や着手の意図によって呼び名が変わります。
ナラビ
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 白◇のように単独に2子が並んだ形をナラビといいます。
 並んだ2子のどこかに黒石または白石が接触している場合はナラビとはいわず別の呼び名に変わります。
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 また、左図▲や▼のように4線の石から3線に向かって並んだ場合は、ナラビではなくブラサガリといいます。
 3連星の構えで辺の星からのブラサガリを鉄柱ということもあります。
 なお、黒A小ゲイマ、黒B一間トビ、黒C大ゲイマの構えから黒▲と打った場合は、ブラサガリではなくシマリといいます。
ノビ
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 左図白1ハネに対する黒2のように敵石と競り合いながら広い方へ1歩先んずることをノビといいます。
 また、白3のように敵の陣営に向かって1歩踏み込むことをノビコミといいます。
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 左図黒2キリに対する白3のようにアタリの石を逃げるなど敵の包囲網から1歩踏み出して脱出する場合はノビダシといいます。
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 左図黒1ソイに対する白2のようにAからの分断を迎え撃つ覚悟でノビる場合はノビキリといいます。
ヒキ
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 左図白1ハネに対する黒2のように援軍に向かって1歩戻る形をヒキといいます。
 なお、白1ハネに対して黒Aと打つのは広い方に向かって1歩先んずるのでノビになります。
 ツケてノビることをツケノビ、ツケてからヒクことをツケヒキといい、双方の勢力が拮抗している場所における接触戦の基本形となっています。
タチ
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┃ (1) │  (2)  ┃
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 左図(1)黒1コスミツケに対する白2、左図(2)黒1ツッパリに対する白2のように横から石をぶつけられたとき中央に向かってノビた形をタチといいます。
サガリ
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 左図黒1コスミツケに対する白2のように盤端に向かってノビることをサガリといいます。
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 ただし左図黒1のように1線にサガル場合はオリキリというのが普通です。

蛇足
 左図の黒1オリキリは、白1ハネツギのヨセを防ぐ逆ヨセで将来黒Aアテコミで白地を削減する楽しみが残っています。

オシ
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 左図白2や白4のように相手が手抜きすると自分が広い方に先行できるように歩を進めた形をオシといいます。
 通常オシは相手が受けてくれるので先手で自分を強化できますが、相手も強化させることになります。
 また、オサレてノビた石はオシた石より1歩先に進んでいますから、自分を強化したより相手を強化させた損の方が大きい場合が多いです。
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 したがって、オシは同点を相手から打たれる価値が小さくなった時点でやめるか、左図黒5のようにデギリの危険がなくなった時点でケイマに外す必要があります。
 このようなことをせず、オシとノビとの交換を続けることを揶揄的に車の後押しといいます。
 とくに相手がノビて行く方向が未開地の場合は、オサレた相手は労せずして切っ先を未開地に伸ばすことができますから車の後押しヘボ碁の見本とされています。
 ただし、つぎのような場合は、車の後押しが悪手ではなく好着になることがあります。
  1. 切っ先の方向(図の下部)の価値が低い場合
  2. 押されている側の背中(図の右側)の価値が低い場合
  3. 押している側の背中(図の左側)の価値が高い場合
 特にに押している側の背中の価値が非常に高い場合は、車の後押しは強力無双など迫力となりますから、押される側はノビではなくケイマにはずすなどの工夫が必要になります。

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 左図黒2や黒4のように下側から押す場合は、這い進む形なのでオシとはいわずハイといいます。
 3線のハイは1手ハウごとに2目ずつ地が増えますが、相手の厚味の強化はそれを上回りますから3本這ったらトビを打っていつまでもハウのを避けるのが原則です。
囲碁格言:3線ハウのは3本まで
 2線のハイは1手ハウごとに1目ずつしか地が増えませんから3線のハイよりさらに不利なので、2線のハイは双方の根拠に関わるとき以外はできるだけ避けるようにします。
囲碁格言:2線ハウのは負けの元
 また、やむを得ずハウ場合は、相手のオサエが先手にならないところまで這ってやめるのが原則です。
囲碁格言:2線のハイはオサエが利かなくなるまで

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 左図白1のように相手の領域に向かってハウことをハイコミといいます。
 ハイコミは2線であっても双方の根拠に影響するので非常に価値が高い手です。

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 黒1ツケ白2ハネダシ黒3キリのとき白4と敵陣に向かって這い込んで行くことを泳ぐといいます。
 なお、黒3は形的としては白石に頭をぶつけるツキアタリですが、白石を切る手なのでキリと呼びます。
 碁の術語は、形よりも着手の意図を優先して表現するのです。
ソイ
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 左図白2のように相手の板の石に寄り添うように並ぶことをソイといいます。
オサエ
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 左図黒2のように相手の進出を食い止めるための手をオサエといいます。
 なお、白3のように相手の石に接触している石から相手の石に接触しながらノビる手をソイまたはソイツケといいます。
ツキアタリ
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 左図、黒1のように相手が待ちかまえているところに頭をぶつけて行く手をツキアタリといいます。
 ただし、コスミの連絡路の一方にツキアタる場合はアテコミといいます。

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 また、左図黒1のように横腹に敵石がくっついていない状態でツキアタル手はブツカリまたはツッパリといいます。
ツキダシ
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 左図黒1のように敵石の隙間に突き出ることをツキダシといいます。
 ツキダシは、相手が応じなければ相手の石を裂くことができますが、相手が応じると自分の石がダメヅマリになるので後続手段がなければ悪手になることが多いです。
 左図の場合は黒3キリを打つための準備工作としてのツキダシです。
 先手で打てるからとツキダシを打って他に回るのは劫材を減らすだけではなく、身ダメを詰めることになりますから慎みましょう。
マゲ
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 左図のように真っ直ぐにノビた石から相手の石に沿って曲がる手をマゲまたはマゲツケといいます。
 マゲは、足が遅い感じを受けますが、自分を強化し、相手のダメを詰めるので好手になる場合が多いです。
 特に中央を制するようなマゲの場合は千両マガリと読んでいます。
グズミ
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 左図黒1のように並んでいる石からアキ三角になる形でノビ出す形はグズミといいます。
 コスミの石からアキ三角になるように打ったグズミと区別するためにグニヤというときもあります。
棒ツギ
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 白1ハネに対する黒2を棒ツギといいます。

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